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おめでとう!そしておめでとう!タイバニ新作アニメ制作発表

TIGER & BUNNY』、略してタイバニの新アニメシリーズプロジェクトが発表された。

 

news.livedoor.com

 

タイバニは熱狂的なファンが非常に多く、また二期を願っていた彼ら(彼女ら)の結束は固い。シュテルンビルト*1は素晴らしい市民に恵まれている。

 

NEXTと呼ばれる特殊能力を持つ人間が現れた近未来的世界。大都市シュテルンビルトでは、目覚めたNEXTの能力を悪用する凶悪犯罪が後を立たない。
しかし街には、各社がスポンサーとなり、同じくNEXTの能力を以て戦うヒーローが存在する。ヒーローの活躍は『HERO TV』で中継され、ランキングによって「キング・オブ・ヒーロー」が決定する。
主人公の鏑木・T・虎徹は、ヒーロー歴10年のベテランながら芽が出ないものの、信念をもって地道に活動していた。だがスポンサー企業はヒーロー事業部を売却。新規参入のアポロン・メディアのもとで再スタートを切る。そこで初のバディ・ヒーローとして、期待の新人バーナビー・ブルックス・Jr.とコンビを組まされることになる。

同じNEXT能力を持ちながら、反対の性格、違う行動理念を持つ二人は馬が合わなかったが、交流と戦いを通して信頼関係を築き、最高のバディ(相棒)となっていく。

第一期は二部構成で、1〜13話はバーナビーの両親を殺した犯罪組織・ウロボロスを追い、犯人である凶悪犯・ジェイクを追い詰めるまで。14〜25話はバーナビーの記憶に改竄があり、それを行った真の犯人を捕らえるまでの話となる。なお、虎徹は能力減退を理由に引退、バーナビーもそれを追った。だが最終話では、虎徹はワイルドタイガー・ワンミニットとして復帰し、バーナビーも彼の危機に馳せ参じた──と言うのが、これまでの流れである。

 

私はタイバニはリアタイしていた。
面白く感じていたものの、同人に手を出すハマり方ではなかった。
理由はある。もう本編だけでお腹がいっぱいになったからだ。

 

腐女子としての私は、隙間を埋めるのが好きだ。
だがこの二人は隙間がない。いや、あるのだが、その隙間が物語の中で確実に埋まっていくのである。そこに女性の影がさほどないも大きい
さほどない、と言うのは、虎徹は最愛の妻・友恵とは死別しており、さらに同じヒーロー仲間のブルー・ローズことカリーナ・ライルに想いを寄せられているからだ。が、この二人もバディとしての虎徹とバーナビーの間に大きく介入していくことはない。つまり女性が原因で虎徹とバーナビーがギクシャクする…と言うことはないのだ。

 

となると、二次創作で埋めなくてはいけない隙間が、私の場合は殆ど見出せなかったのだ。もちろん、数あるタイバニ同人を否定するわけではない。あくまで私の場合だ。
見出せなかったものの、作品としてのタイバニは非常に面白く視聴していたので、新アニメも期待大だ。

 

なので腐抜きで観てしまっているのだが、それでもこの作品は面白い。
今までの「ヒーロー」に抱いていた疑問を、上手く解消してくれているからだ。

 

 

ヒーロー、あるいはヒロインと呼ばれる「正義の味方」
彼らの多くはボランティアである。

セーラームーンが分かりやすいかもしれない。いや、私がパッと浮かんだのがこれだったからなのだが。ともかく、セーラー戦士達は命を賭ける戦い(アニメでは実際に命を落としている)を繰り広げながらも、報酬は一切ない

むしろ報酬と言う概念を持ち込むことこそ、下世話な話だと捉えられてしまう。彼ら、彼女らは運命に導かれて、自分達の生きる場所を守る使命を負って戦う。たとえ、プライベートはもちろんのこと、普通の人間としての営みを捨ててでも、だ。

※便宜上、以降は彼女らであっても彼らに統一します。

だが、これはあまりに理不尽な話だ。運命と言う言葉で、彼らの人生の選択は奪われてしまっている。彼らは選ぶことも、拒むこともできない。何故なら、運命だからだ。戦う運命に生まれた以上は、そのために生きなくてはいけない。

現在の日本では、職業選択の自由憲法で保障されている。だが、運命は憲法をも上回る絶対的存在として扱われてしまう。そういうさだめだから、の一言で片付いてしまうのだ。

もちろん、戦士達が納得済みであれば問題ない。アニメにだが、セーラー戦士も「辞める」と言う決断ができると思われる話があった。亜美ちゃんが海外へ行く決意をする話だ。もっとも、本当に行ってしまっては話が続かないので仲間のために亜美ちゃんは戻ってくるのだが。

…90年代までは「絶対運命」を背景にした作品が多かったように思う。もちろん全てがそうではないが「そういう宿命を負った主人公と仲間」と言う一種のパターンが形成されていたのは間違いない。

その理由は分かりやすい。そもそも、運命が一般人には縁遠い話だったからだ。願望の一つである。「世界に求められたい=認められたい」と言う欲求が、こうした絶対運命の主人公を生み出した、と私は思っている。

 

話が逸れたが、タイバニは「絶対運命」と「ヒーロー=正義の味方」を完全に切り離した会心作だ。
タイバニにおけるヒーローは、確かにそういう運命にあるのかもしれないが、定義としては「報酬のある正社員」であり、社会的地位のある立派な職業として人々に認知されている。ゆえに解雇と言う憂き目にも遭う(世知辛い)。

 

タイバニが放送された2011年は、今よりも就職率が厳しかった時代だ。就職氷河期終結後に訪れた、リーマンショックの影響である。
またブラック企業の存在が認知され始めた頃とも言える。就職率は下がった中で勝ち取った大企業の内定すら、人生の成功を約束してくれなくなった──もとい、あらゆる勝ち組神話が崩壊した時代だ。
そんな時代に、無報酬・無保障の正義の味方に対するアンチテーゼを描いたことも、タイバニのヒットの要因とも言える。
NEXT能力保持者に限られるが、社会的保障を受けられ、なおかつ自由選択の職業・ヒーロー。これも時代が生んだ「憧れ」の形である。

 

 

しかし売り手市場に回復してきた現在、新タイバニはどのような世界を見せてくれるのだろう。
もっとも一番気になるのは、スポンサー枠を獲得するための熾烈な企業間抗争だが。
このスポンサー制度もやっぱり面白い。これについてもそのうち綴れたらなぁ〜。

 

 

 

*1:舞台となる架空の都市