ごはんの種は蜜の味

二進も三進もいかないアラサーなオタク女の日々

客が店を選ぶなら、店も客を選ぶ

 

ツイッターで見かけた呟きだ。

元記事はこちら。

www.can-labo.com

 

創作空間caféアトリエさんは、私自身はこのツイートを見かけるまで知らなかった。

サイトや過去の呟きを拝見して、コンセプトから照らし合わせてもこれは妥当な判断だと、私は感じた。

 

※以下の文では便宜上、六歳以下の子どもを「未就学児」でまとめた。

 

創作空間caféアトリエさんのコンセプトは『美術部のようなカフェ』だ。

美術部と聞くと、どんなイメージだろうか。私の場合、美術室で石膏モデルを囲んで黙々とデッサンをしているイメージが強い。もちろん、描くのは風景画だったり、今だとパソコンで描いているかもしれないが、そのいずれも共通するのが「黙々と」である。

必ずしも沈黙する必要はないのだが、ゆったりと、自分のペースで、しかし孤独ではなく誰かがいる安心感がある、そんな環境を提供するカフェなのではないだろうか。

 

そうなると、騒音がもっとも問題となる。

 

立地面から考えて、車の交通量が多い場所ではない。駅も離れており、車両による騒音は殆どないのだろうと推測される。

客のお喋りも特に制限はないようには思われるが、周りに迷惑がかかるような大声はさすがに注意を促すだろう。大人であれば、注意すれば守ると言う判断ができる。守らないのは、守らなくてもよいと判断した上での迷惑行為であり、入店を断ることも可能だ。

しかし、子どもは注意しても聞かない。もちろん、注意すれば素直に聞く子もいるが、未就学児すべてにそれを求めるのは酷である。見慣れない環境に不安を抱いて泣いたり大声をあげたりする子もいる。逆に、創作が好きで興奮してしまう子もいるだろう。

そういう子どもが集まると、まさに数の暴力になると言ってもよい。ましてや母親が容認・放置すれば、援護射撃も同然だ。静かな空間はいとも容易く崩れさる。

では、静かに創作に打ち込みたいと思って来ている客、恐らく本来このカフェがターゲットとしている層はどうするのか。何もしない、言わない。ただ、消えるだけである。

 

カフェの経営者が未就学児の入店を禁止したのは、英断であると思っている。

 

ツイートなどから考えて、すでに店は騒音問題だけでなく、少なくない実害を受けている。
こればかりは、子連れ客を擁護できない。もちろん全ての子連れ客がそうであると言うことではない。

しかし、画材の破損や親の注意不足により、備品の再購入やメンテナンスにかかる費用に加えて、騒がしくて作業ができなかったとして帰っていった客の存在……つまり機会損失まで受けているのだ。

 

ちなみに私は、よくあるベビーカー論争に関しては容認派だ。

子育てをしているとどうしても荷物が多くなるし、子どもが機嫌を損ねて石のように固くなって歩いてくれなくなることもある。そうなると、ベビーカーに乗せるしかない。

おんぶ・抱っこも、母親の体調や身体上の理由でできないこともある。外出に必要な荷物量を考慮すると、米俵一つは余裕で持てるだけのパワーが必要だ。

ベビーカーを使う母親の多くは、ベビーカーを使いたくない。だが、現状としては使わざるを得ないのだ。

 

だが、今回に関してはそれと別問題だ。

 

今、カフェは乱立している。特に創作空間caféアトリエさんのある場所は、決して地方の話ではない。大阪のなんばの話である。

大阪は喫茶店数が全国1位(2012年)とも言われている。たとえ変動があったとしても、全国で五本の指には入るのは確実な、喫茶店(カフェ)天国だ。

そうなると、普通の「美味しいコーヒーを出すカフェ」程度では、決して売りにはならず、すぐに閉店の憂き目を見てしまう。それだけ競合が多い地域なのだ。

結果、カフェの細分化が行われている。つまり、その店にしかないコンセプトが必要になる。ストーリーと言ってもいい。

 

創作空間caféアトリエさんには、明確なコンセプト=ストーリーがある。

イラスト、漫画、ハンドメイドなどの創作が大好きな方のための「美術部」みたいなカフェ。

店内ではクリエイター作品の展示・販売も行うなど、創作活動を応援しています。

公式サイトより引用

これが「根本」だ。

これだけは絶対に曲げてはいけない、と、経営者が考えている部分である。そして経営者の考え=経営戦略は、画一的なものではない。最適解はあっても正解はない。

まず軸になる客層は「創作が大好きな方」だ。これには本来、ママクリエイターも含まれている。そして実を言うと、今も創作空間caféアトリエさんはそれを外してはいない。

あくまで「未就学児の入店を禁止」しただけである。

つまり、未就学児を連れて来ないのであれば、ママであっても入店できるし、一定の年齢を越えれば子どもを連れてきても(現状は)問題ないのだ。

子どもを生んだらはいさよなら!ばいばいきーん!ではない。

それを、まるで鬼の首を取ったかのように「差別だ」「子連れにだけ冷たい」「特別ブースを作って」と言うのは筋が違う。数年経てば連れてきてもいいし、気に入らなければ行かなければいいだけなのだ。客は店を選ぶ権利がある。それゆえに店は苦心して客を呼ぼうとするのだが、逆に店が客を選んではいけない道理もない。

創作空間caféアトリエさんはそもそも「創作をする人」をターゲットに絞ったカフェなのだ。そして、その創作をする人が何を望んでいるのか──経営者が出した答えが「適度な静けさ」だった。それだけのことなのだ。

 

管理人の意見は、あくまで一意見で、何よりこのツイートでカフェの存在を知ったレベルの人間だ。だが、子連れ論争には前々から関心はあり、何らかの形で意見は吐露しておきたかった。

ちなみにベビーカー容認派で、妊婦・ママがもっと外へ出てもいいように環境を整えるのは重要だとは思っている。しかし、かと言って妊婦だからママだから(子どもだから)許せ、とも思っていない。ゾーニングを適切に行う、差別ではなく区別を正しく判断するが、私が考える最適解だと思っている。

 

いっそのこと、子連れ歓迎!ママだって創作活動したい!をコンセプトにしたカフェを誰か開けばいいのではないかと思っている。

ある一つの店が未就学児入店を禁止した……たったそれだけのことに、やれ差別だなんだ騒ぐぐらいなら、いっそそういう子連れ創作カフェを経営してみてはどうか。

デモデモダッテ!私はできないから言ってるの!はただの言い訳だ。

 

…と言うと、今度はカフェやりますぅ〜♡からの経営失敗→○○さんはできるって言ってた!私悪くないもん!と言うなすり付けが起こるんだろうなぁとか思うのだった。

 

www.news24.jp

blog.livedoor.jp

 

全ての道がローマに通ず、みたいな思考で「全ての人間が入店できる」と、どこでもお客様感覚で思い込んでいたら大間違いですよっと。

むしろ経営者の人は、コンセプトがある以上、決して安易にブレずに突き進んで欲しいものだ。